大槻ケンヂ『くるぐる使い』角川文庫

ネタバレ注意。
いや、予想以上にいい作品集でした。大乱歩とかホラー映画の名作、オマージュ風味も濃厚なホラー短編集ですが、独特の狂気とユーモア、そしてセンチメントの味付けが、非常にセンスを感じさせる仕上がりになっています。
特に気に入ったのは、インセストの罪悪感からアブダクション妄想を深める少女の狂気を描く「キラキラと輝くもの」、そしてベストは表題作「くるぐる使い」、見世物にするために少女を狂気に追落す興行師の昔語り。狂った悲恋を描くこの二編は、絶妙に背徳的で、蠱惑的で、そして哀しい。見事な達成です。
評価はB+。

くるぐる使い (角川文庫)

くるぐる使い (角川文庫)