三津田信三『山魔の如き嗤うもの』講談社文庫

ネタバレ注意。

忌み山と、そこに跋扈する山魔の伝説をもつ山村に繰り広げられる、連続童謡見立て殺人を描く、刀城言耶シリーズ第四長編。

正史的世界の蠱惑的魅力があり、息をつかせぬ展開とガジェットも盛り盛り。メインの一家入れ替わりトリックも納得性があり悪くない。なによりこういう、「本格的」本格というものは貴重。

ただなんか、いまひとつのめりこめない。もっとワトソン役がしっかりしないと名探偵の魅力が立ち上がらないし、ホラー演出も作家性を認めつつ、こけおどしの域を出ないものに感じられる。

端的に、作家の筆との相性がよくないんだろうな。

評価はC+。

山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)

山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)