『パコと魔法の絵本』

@みなとみらい109
いや、掛け値なしに愉しい映画だった。「笑って泣ける」、まさにその形容を体現したエンタテインメント。
中島哲也の映画に期待するものは、十全に満たされるだろう。ポップでサイケデリックな色彩感覚、クレイジーなキャラクタが織り成す、抜群のテンポ感のスラップスティック。とにかく笑える。序盤、ややスベり気味の部分もあるが、そこを見事に救ったのはさすがの阿部サダヲ。あとは「ジュンペイ」を核とする後半の怒涛へと突入するだけだ。
そして泣けるのは、主にアヤカ・ウィルソン嬢のあまりにものかわいらしさに寄る部分が大きいな。話じたいはまあベタっちゃベタであって、その中であの無邪気な可憐さの機能性たるや反則級だ。役所広司が食われてる感すらあるぞ。
で、エンディングがもっとキマってればパーフェクトだったな。この監督の持ち味を考えると、『下妻物語』『嫌われ松子の一生』いずれをも凌いでベストの題材かと。このテの映画は劇場で観て、色彩と音楽の洪水にのまれるべきであって、常々高価いと思っている1800円もまったく惜しくは思われなかった。