ネタバレ注意。
失踪した妻を捜す教師と、妻を殺された刑事、それぞれの視点から描かれる捜査小説。
なんか『慟哭』を思い出してしまうのは、新興宗教が絡んでくるから…ってだけじゃなくて、まあぶっちゃけてしまえば「二つの視点を結びつける」叙述トリックの存在ね。
『慟哭』とはまったく違った処理がされてはいるけど、似ていると感じたのはそのあまりのスマートぶりからだったかもしれないな。余剰のない、シンプルでストイックなトリック・ミステリとしてまとまっているけど、「驚天動地」とはいかなかった。読後のなんとはない物足りなさが似ている。*1我孫子でいえば『殺戮に至る病』、ああいう小説としての凄みも薄いし。
まあ『イニシエーション・ラブ』を読んで以来、叙述トリックにはハードルが高いってのが最大原因かもしれんね。
評価はB−。
- 作者: 我孫子武丸
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/07
- メディア: 文庫
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*1:『慟哭』と違って、こっちはトリック見破れなかったけど。