小川哲『君のクイズ』朝日新聞出版

ネタバレ注意。

「クイズ番組において、早押しの問題文が一文字も読まれないのに正答して優勝」という謎を描くクイズ・ミステリ。

さすが地頭のいい人の小説は気持ちが良いなーという感じで、クレバーな構成・叙述とテンポのいい展開で巻措く能わざるエンタメ・ミステリ。クイズの世界をこまやかに描いて、知的好奇心・興奮の喚起力も一級品です。

そして、真相とラストの余韻はすぐれて今日的な問題提起を突き付けている。それまでのクイズと三島の人生を重ねる構成からどんでん返しの効果もあって、まったく違う角度から鋭利に抉られる感じ。

世界はこんなにクソですが、どうしますか? とは、我々が日々突き付けられているクイズであるのでした…。

評価はB。