櫻田智也『蟬かえる』創元推理文庫

ネタバレ注意。

日本全国、昆虫にまつわる事件に遭遇する、魞沢泉シリーズの第二作品集。

表題作は山形舞台も嬉しいが、謎解きもドラマも端正にまとまった好編でした。「彼方の甲虫」も名被害者の演出と時勢へのクリティシズムがあってよかったし、「サブサハラの蠅」もらしくなくエモーショナルでちょっと泣いた。

こうやって振り返ると好編揃いではあるのだが、親本刊行時の高い評判により、早い文庫化に飛びついた中ではちょっと期待が高すぎた感はあった。何かひとつでも、ヒザを叩くようなカタルシスがあれば…と。

評価はB。