ネタバレ注意。
南米にコミューンを築いたカルト教団内での連続殺人を描く長編。
年次ベスト席巻も納得の力作。人民寺院というネタ元がまず好みにズバリだが、作者の筆質(エログロは若干抑えめだが)にもよく合っていて、独特の殺伐とした世界観が構築されている。
その中で展開されていくロジックと多重解決は、この舞台立てならではの必然性がしっかり骨絡みになっていて見所たっぷり。状況設定の類似性もあり、先行作として『その可能性は~』をどうしても想起してしまうし、ロジックの超絶技巧という点ではひけを取ってしまう部分はあるが、しかし全く異なるバリエーションを示して対抗できていると思う。
評価はB+。