ネタバレ特になし。
関係者証言によって浮き彫りにされる、連合赤軍最高幹部・森恒夫の肖像。
情報としては既知のものがほとんどだし、事件や人物像に新たな転回をもたらせているようには思えないし、また今の時代にこうした政治的・社会的なムーブメントがなぜ起こらないのか、という問題意識も、結局明確な論点に像を結ばないまま、という印象がある。
1992年生の若い著者が、この題材で開高健ノンフィクション賞獲った、という事前の期待は肩すかしをくった感はあったが、この時代、この事件になぜかどうしようもなく惹かれる者として心強い思いはしたし、考え続けていくべき主題を投げてくれているとは思う。
評価はC。