ネタバレ注意。
最初期の短編集。
初出70年代の時代性や、中間小説誌発表なりの下世話さもあるけど、同時に各編に筋を通している、崇高さ、と言って言いすぎなら孤高さというのはなんだろうな、と思う。
歪んだ性愛、獣姦、奇形、露悪的なほどにインモラルで狂った世界を描きながら、それはあくまで美しく統制されている。
初出から半世紀を経てなお、まったく鈍ることのない尖鋭。キャリアの最初期から、皆川博子は全き皆川博子であったという、端倪すべからざる作品集。特に「獣舎のスキャット」と「蜜の犬」はヤバすぎる。
評価はB。