ネタバレ一応注意。
カシアス内藤、榎本喜八、円谷幸吉ら、日本スポーツ史における「敗者」たちの姿を描くノンフィクション連作。
まだ二十代での作にして、文体の端整も、抒情の深さも既に確立されたものがある。品質保証の沢木印。榎本喜八にしろ円谷幸吉にしろ、wikipediaの記述のベースほとんどこの本やんけ。
しかし…円谷幸吉の自死における女性の存在を明るみに出したこととか、輪島功一の伝説のタイトルマッチに立ち会ってることとか、時代の中枢・本質を期せずして掴み取ってしまう、単なる記述者、伝記作家の枠を超えた、自身優れた表現者である証左ではないかと思います。
評価はB。
- 作者:沢木 耕太郎
- 発売日: 1979/09/25
- メディア: 文庫