筒井康隆『霊長類南へ』講談社文庫

ネタバレ注意。

《ひょんな事からついに始まってしまった地球最終戦争》を描く、スラップスティック・SF長編。

残酷さとシニシズムに満ちた、いかにも筒井らしいファルスだけど、いかんせんベタで、古臭さが否めない。半世紀近く前の作品でやむを得ないことではあるけど、SF的想像力における新鮮さ、目新しさが皆無。

肉塊となった人間を満載した「ふじ」が東京湾に沈んでいくシーンと、菊枝の本棚の描写ぐらいだったな、面白かったの。後者はいいシーンじゃん!と思ってたらすぐに引っくり返されて翻弄されて、このへんはさすがだと思った。

きたる日のために勉強に励んでたってんじゃなくて、単なるニンフォマニアだったって話なのか? 個人的にだいぶ話変わってくるんだけど…。

評価はC。

霊長類南へ (講談社文庫 つ 1-1)

霊長類南へ (講談社文庫 つ 1-1)