島田荘司『都市のトパーズ』集英社文庫

ネタバレ注意。

主人公の東京・日本の都市計画に対する愚痴・悪罵と、「虎を放す」テロリズムを描く長編。

…うーん、怪作というか珍作だなあ。大半を占める相変わらずドグマティックな日本人批判は、左の俺でも受け入れ難いよ。なんか小説として、あるいはそれ以前に議論として成立していない箇所が目について、《私の許婚者はそれで死んだ。》(17p)とか、その唐突さとそれ以後まったく出てこないの含めてナンセンスに過ぎるし、ポルノ規制の邪推とか滅茶苦茶だし、「水晶都市」と山手線ディナー列車企画とかどうでもよすぎる。

結局、御大も困った人やな…という感想しか出てこないけど、こういうパーソナリティじゃないと、ああいう破壊力の「近距離パワー型」本格は生み出し得ないのかもね。解説がよりによって笠井御大ってのは、オチがついていい感じだった。

評価はC-。

都市のトパーズ (集英社文庫)

都市のトパーズ (集英社文庫)