ネタバレ一応注意。
裁判の傍聴、死刑囚との面会、教団・教祖の縁の地への探訪とインタヴューを通して描かれるオウム事件。
森達也でオウムとなれば面白くないわけがなく。確かに情緒過多の部分はあるけど、その分没入して読むことはできる。
真相を明らかにする、という意味ではあまりに制約が多く、始めから負け戦ではあるけど、それなりに説得力のある提示にはなっていると思う。アーナンダの野郎にコンタクトできないこと、そしてマンジュシュリー・ミトラに至ってはその機会が永遠に失われていること、あまりに残念。
『東電OL』なんかでもそうだったけど、こうしたルポが、司法への糾弾に頁を割かざるを得ないってのはなんか凄くもったいない気がする。これだけの事件の「真相」を闇に葬る、人類史への罪悪を担って顧みることをしない、その「終わってる」様だけは、何よりはっきりと理解できるのよね。
評価はB。
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