矢作俊彦『マンハッタン・オプ 4』ソフトバンク文庫

ネタバレ一応注意。
第四集に至って、テンションとクオリティの減じる気配のない鉄板シリーズ。シンプルで小粋なストーリィと、いちいち美しく卓抜な比喩・文章表現で織り上げられた、ハードボイルド・メルヒェンの様式美。
今までの巻では「男の友情」に感興の深い作品が多かったように思うが、この巻では子供絡みにいい話が多かったかな。特に一編挙げるなら「THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES」。
文章で挙げれば「YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS」、カリフォルニアの探偵に対する呪詛と、ラストのセンテンスいずれもニヤリ。キレイにまとまりすぎの感もありますが、そこはメルヒェンだし。しかし特に冬の風景描写には唸らされますな。
評価はB。