ネタバレ注意。
現代ものの短編集。
時代ものを離れても、色や欲や狂気や懶惰、様々に厭な味の楽しめる岩井ワールドです。
爛れて気怠い色恋模様に、ふとホラーな戦慄の走る「憂鬱なまなざし」、主婦連の階層意識といういかにも厭な題材を、自伝的要素も交えつつサラリと仕上げた「隣の淋しい女」、得意の土俗ホラーが東南アジアを舞台に、日本とは色の異なる妖花を咲かせる「檸檬と炭酸水と砂糖と暗闇」あたりが好みだったかな。
でも一番のセンテンスは、エロ幻想譚「目眩く暗い道」にあった。
僕を舐めていた舌は、ひどく純情な色をしていた。
(「目眩く暗い道」、161p)
評価はB−。
- 作者: 岩井志麻子
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/10
- メディア: 文庫
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