中上健次『十八歳、海へ』集英社文庫

ネタバレ特になし。
18〜23歳の時に書いた、最初期作品集だって。
「JAZZ」「不満足」「海へ」といった、イメージを乱舞させた不条理/前衛掌編と、もっと長さのある短編青春小説が両軸。
中上健次にイメージしている、阿部和重をさらに煮詰めたような「ドロドロした感じ」…それが宿縁とか土着性とかいうものであれ、妄執とか暴力性とかいうものであれ…はあまり感じられない。「1960年代の青春」たるものに相応しい、むしろ時代性に独特の閉塞感や乱脈さが感じられ、そういうのは個人的に好ましかった。
結局、前衛は分からん。
評価はC。

十八歳・海へ (集英社文庫 青 107-B)

十八歳・海へ (集英社文庫 青 107-B)