中上健次『地の果て 至上の時』新潮文庫

ネタバレ一応注意。
紀州サーガ」の到達点…とのことだが、そんなことより、その圧倒的な「読み難さ」において印象的な作品でありました。飛行機の中なら読むかと思ってシンガポール旅行に携えて行ったけど、往復約13時間のフライトの過程で100ページしか進まないまさかの事態w
土着的な癖の強い、濃密な地の文&会話文、入り組んだ血縁・人間関係、核心をつつきながらも迂回を繰り返す物語…障壁は高いが、読み終えた時の達成感および爽快感も格別のものがあります。その「純文学読んでるぜ」という手応えと、「路地」と呼ばれる被差別部落の在り様、そこから派生する性と暴力について、「こんな世界もあるのね」という慨嘆、俺程度のヌルい読者にはそんなレベルに止まる本でしたが…。
母親の蔵書からパクった本だけど、彼女はこれをちゃんと読んだのでしょうか…。
評価はC。

地の果て 至上の時 (新潮文庫)

地の果て 至上の時 (新潮文庫)