ナンシー関『何が何だか』角川文庫

ネタバレ一応注意。
いつものコラム集ですが、ネタはTV番組にとどまらず、「広告批評」連載のCM評、「OZmagazine」連載の雑誌評も。「引っぱりだこ」の状況が窺え、やはりそれぞれに面白い。
まず、書き出しが巧いよね。

 野村沙知代夫人である。夫人の最終兵器の声も高かった落合信子夫人のあとに沙知代夫人が控えていたとは。夫人界の奥の深さを知らされた。底無しのドロ沼のようである。
(15p)

 私は今しみじみと田原俊彦ファンでなくて良かったと思っている。もしもファンであったらきっと泣いていることだろう。
(21p)

 それにしても、西村知美和田勉の「スパ王」のCMは疎ましい。疎ましいという表現が見合っているのかどうかさえ判断つかないほど忌まわしい。いや、単なる不快の頂上にあるのではなく、全く違う山の頂にある感じだ。
(58p)

…もう、こんなの絶対面白いじゃんね。2012年現在、「TV」なんてもはや、ナンシー関がかつて書いたコラムの中にしか存在していないんじゃないかと思ってしまう。
まあ一番面白かったのは空想コラムだったんだけど。同学年の著名人を同じクラスに押し込むっていう。

 私の学年でもある62年は、とりあえずドリアン助川が毎日こぶ平に大声で説教している。
(139p)

「とりあえず」じゃねーよw
評価はB。

何が何だか (角川文庫)

何が何だか (角川文庫)