平山夢明『異常快楽殺人』角川ホラー文庫

ネタバレ特になし。
エド・ゲイン、ヘンリー・リー・ルーカスアンドレイ・チカチロ、ジェフリー・ダーマー…世界犯罪史上に名高い殺人鬼たちの、生い立ちから凶行、そして現在あるいは最期までの肖像。
現在国内ホラーの最前線にいる平山夢明の、まだノンフィクション・ライタ稼業に軸足のあった時代の作品、さすがの暗黒ぶりです。「こういうの」には耐性がある方だと思うし、実際「好き」…という言い方が憚られるから「興味があって」読んでいるわけですが、そんな俺でも実際身体に不調をきたすほどに、作中漂う血腥い瘴気には侵食力があります。
禍々しいものをちゃんと禍々しく書けるというのは筆力です。実際著者もスタッフも書いててオカシくなったらしいけど、そりゃそうだわ、と自然に思える、奇書ならぬ凶書。
評価はB。

異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)

異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)