BUMP OF CHICKEN 「R.I.P./Merry Christmas」

久しぶりの新曲でございます。
どうもアコースティック・バラードな路線が受け付けなかったので、スピード感とスケール感を兼備した「R.I.P.」の構成は歓迎すべきものだし、中心的なメッセージ性もそれだけ取り出せば感動的だと思うのだけど。
それでも、なんだか表現の軸がぶれているように感じられるのです。《母の日の朝 父さんとシャベルで 尻尾の付いた友達の墓》なんて、この曲のメッセージを伝えるのにこれだけの言葉を重ねる必要があるとは思われない。過去と未来と現在を行き来する視点がこの曲のダイナミズムだけど、饒舌で重みを感じられない。それに「R.I.P.」というタイトルを冠してしまうことも、なにか「考えすぎ」のような感じがしてしまって。
曲に持ち込むエピソードや寓話性は藤原基央というソングライタの最も際立った才能だし個性だけど、中心にあるメッセージに向けて一直線に突き進むような迫真性と、それによって宿される普遍性が、この曲にはないと、どうしてもそう思えてしまうのでした。
「Merry Christmas」の方も、ダブルAサイドにするほどの曲とは思えません。

R.I.P. / Merry Christmas

R.I.P. / Merry Christmas