五條瑛『心洞 Open Sesame』双葉文庫

ネタバレ注意。
「革命小説」第三弾。こないだ四作目が文庫落ちしてましたけど買ってません、もちろん。
これがラスト。さようなら。
ということで、相変わらず全体にどうしようもない生温さが漂っていて気持ちが悪いのです。サーシャさまの周辺、作者のお気に入りキャラたちに関しては以前書いたことを繰り返しませんが、特に今回は二人の新顔主人公、「ヤスフミ」と「エナ」、その互いに対する感情が、羅列される言葉の説明以上のものとしてまったく立ち上がってこない、その様がとても厭でした。ただ「好き」って書いてあるだけなの。飲み込めるかそんなもん。
あとは以前も見た記憶のある「大川」ってキャラね。ウリセンでやたら凄味のある風に書いてあるんだけど、ただただ嫌悪感と忌避だけが先に立つことに。いや、ウリセン云々じゃなくそのあざとい造形にね。
在日外国人のコミュニティが話の中心になってる点で馳星周を想起させもするけど、そうして考えるとさらにヌルい。まあエピゴーネンたらんとしているのは高村薫だろうけれど。

 空を見上げても、何も見えなかった。
 世の中には、星が降ってくるのではないかと思えるほど空がきれいに見える街があるというが、エナは行ったことがない。
 空には星なんかない。そう信じている。
(35p)

なにこのヌルさ。どうでもいいよもうw なんか日本語おかしいし。
装丁は奇麗なので置いときたい気もするのだけど…無理です。
さようなら。
評価はC。

心洞―Open Sesame (双葉文庫)

心洞―Open Sesame (双葉文庫)