隆慶一郎(作)/原哲夫(画)「花の慶次 -雲のかなたに- 1・7・8」集英社文庫

天下一の傾奇者、前田慶次の活躍を描く戦国活劇。
さすがに漫画表現としての迫力には出色のものがあるけど、いろいろと濃やかさが足りない、おざなりにされている部分が目について、良くも悪くも少年マンガだなーという感じ。慶次の快男児ぶりのアゲアゲ一本槍で、それを引き立てるために適役が使い捨てにされるパターンばっかり…願鬼坊とか、出て来た瞬間あコイツ滑稽に死ぬ雑魚だなって分かるし、主馬とかもいい加減ウンザリするレベルの酷い造作だった。
魑魅魍魎蠢く戦国末期であれば、もっとクセや凄味のある群像があって欲しかったし、読んだ限りでは伊達政宗に若干仄見えるぐらいだったな。つかそもそも慶次の傾奇ぶりや、あれだけの圧倒的な強さも拠って立つところがよく分からんのだけど、それも周りの造形が足りてないのに一因はあるわな。
まあ、たまたま持ってた三冊を処分のために読んだだけなので、確定的には言えないけど…ただ琉球編も結構グダってるから、他も大同小異だと思うわ。