藤木稟『CROOK』幻冬舎文庫

ネタバレ注意。
児童虐待とかアダルトチルドレンとか共依存とか、いかにも「それらしい」要素をふりまいたサイコ・ホラー。五分冊の隔月刊行という無駄に凝った刊行形態。当時『グリーン・マイル』とかでこんなん流行ってたっけね。
作中、「永遠の幼児」なんて単語が出てきたりして、版元を同じくする『永遠の仔』へのアンチテーゼなのかも、なんてことを思ったり(人形使った装丁も似てる)。本来ならアンチ天童荒太である僕は溜飲を下げたハズなのでしたが、いかんせんこの本益体もないので、なんだか複雑でした。
戯画的にすぎて底の浅いキャラクタ、無駄と反復に満ちた、これまた底の浅い「闇」を薄く引き延ばしたようなストーリー、そしてこれまた底の浅い変態性愛描写…。はっきりとなんら見るべきところのない小説です。
強いて、本当に強いて挙げるなら、「人三化け七」って主人公の綽名は中学生の仕業とは思えないマスターピースだった。「人間三割、化け物七割ってことよ!」とかって、憧れてた幼馴染の女の子から罵倒されるの。オニだね。
評価はC−。

CROOK〈1〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈1〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈2〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈2〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈3〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈3〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈4〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈4〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈5〉 (幻冬舎文庫)

CROOK〈5〉 (幻冬舎文庫)