ネタバレ一応注意。
「R/EVOLUTION」シリーズとやらの「E」、第一作。
いよいよサーシャさまがご活躍で、正直に言えばだいぶ気持ちの悪いことになっています。中国人密航を中心にした話の骨格は、民主化運動なんかも絡んで面白くなりそう。文革なんて好きなファクタだぜ。しかしいかんせん、主人公の安っぽいトラウマと、人格形成の不自然さ、そこからこれまたむりやりの家族礼賛、そしてそれ以上のサーシャさま礼賛こそが印象の中心。物語のテンポは著しく阻害され、そして「そういう」嗜好のない読者にとっては居心地の悪さのみをもたらしてくれる。
そこにどんな苦悩や苦痛が伴うとしても、他の人間では決して真似できないほど濃密な"自由"の芳香を、この男は発散させている。あの深紅の薔薇のように、蜂や蝶や害虫すら惹き付けて離さない蜜をふんだんに蓄えている。女は言うに及ばず、男だってこの匂いには誘われる。いや、"自由"の匂いに誘われない動物なんているはずがない。この男の中にあるのは、動物の本質――多くの人間が失っている最も純粋な本能だ。
(327p)
はいはい、サーシャさまサーシャさま。しかし≪あの深紅の薔薇のように≫ってのはすげーなw
つかサーシャさま周りは、単に欧米系のイケメンに変えたってだけで、ほぼ『李歐』の丸パクリだからな。作者がどう考えてるか知らんけど、どうも意図的にエピゴーネンたらんとしているような気配すらあるよね。別にどうでもいいけど。
あと、脇役をホモカップルにするぐらいなら、さっさとサーシャさまと亮司をカラませてやったらよかったやん。シリーズ完結まで引っ張ってラストで結ばれるんだったりしてw
…まあ、あと二冊あるんでそれだけは消費します。このシリーズ装丁はハードカバー共々最高なんだけどなあ。
評価はC。
- 作者: 五條瑛
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 文庫
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (15件) を見る