ネタバレ一応注意。
「刃」と「香」。二つの「美」を融合させた、本来の意味での「耽美小説」。
読み終えてみれば、最終的に明らかになる物語の構図はたいした驚きも精緻もないが、それが解きほぐされる過程、その見せ方がとにかくうまい。前半の噎せ返るような夏の濃密と、後半の枯れた冬の寂寥の対比。「刃」と「香」が結びつく、スリリングな展開……小説技巧のなんたるかを思い知らされる。
ねちっこい文章と美意識で織り上げられた、絢爛にしていい意味で「気色の悪い」、情と美の小説。
評価はB+。
- 作者: 赤江瀑
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2000/06
- メディア: 文庫
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