ネタバレ一応注意。
SF長編。
世界観やディテールの精緻、キャラクタ造形/ストーリィ構成の無駄のない流麗さ、プログラム言語を織り込んだようなギミックの効き、文章と描写のクオリティ。
そうした長編小説としての完成度の高さとは別に、俺はこの小説を読んでいてずっと、なんというか「いい匂い」を感じていました。
それは現実を射抜く批評性、そのクレバーさのゆえなのか、あるいはより即物的に、主人公である3人の少女の醸し出す仄かな百合の香なのか。
いや、それはきっと、作家がこの作品に丁寧に織り込んだ、真摯な「魂」の芳しさなのでしょう。
評価はB+。
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/12/08
- メディア: 文庫
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