ネタバレ注意。
昭和12年、銀座で似顔絵描きをしている那珂一兵少年が、名古屋での「汎太平洋平和博覧会」に招待され、殺人事件に巻き込まれる長編。
いやよかった。俺『たかが~』よりこっちが好きだわ。戦前の「万博」や中村遊郭、レトロでケレンのある名古屋風俗を愉しめるし、某京極作品か某サイコマンガっぽい人体損壊にもアゲられつつ、あーこんな機械トリック要らんなー、なんて呑気に読んでたんだけど、ラストのホワイダニットに撃ち抜かれて泣きました。
時代設定と物語に不可分でありつつ、現代に…さらには刊行当初よりまさにこの「今」、言ってしまえば「棄民」の時代にクリティカルなホワイダニット。ミステリ…探偵小説の枠を超えて、多くの読者に刺さってほしいと思います。
評価はB+。