the HIATUS 『Our Secret Spot』

6thフル。

オトナのエモ・ロックですなあ、という感じ。一聴キャッチィさに欠けるところはあるけど、じっくり味わうに足る、質実たるかっこよさを湛えた傑作です。

"一目惚れみたいに君を抱きしめて
過去なんてゴミみたいに捨てちまってさ
夜は美しい
夜は美しいぜ"

(「Regrets」訳詞)

「Regrets」でムーディに酔わせ、「Time Is Running Out」でドラマティックにアゲた後、抑制された美しいリリシズムが顕れる「Chemicals」が個人的なハイライト。ここで謳われているもの、その怒り、哀しみがこういう美しい曲に結実したこと、そしてこれを歌う我らのロック・ヒーローの心中を思えば、一言で表現できない感情が滾る名曲です。

Do you remember how beautiful it was
When we got lost walking home
And found our secret spot

Do you remember what it felt like to be there
Like a long lost friend of ours
Nothing could stop us

But nothing stays
Where did they go
Where can I find those eyes again
Nobody knows a things about it
Only the scars remain the same

(「Chemicals」)

残念ながら「そういうもの」を生み出してしまったのだから、この怒りと哀しみは、少なくとも我々が生きている間には終わらない。それならばこの曲は、我々が死ぬまで生に携えていかなければならない、そうしたものです。国歌にして死ぬまで聴け、クソどもが。

そしてそれ以降、力強く、ポジティヴに開けていくサウンドスケープとメッセージは、これぞロックミュージックと言うべきかっこよさ。我らのロック・ヒーローへの信頼感を再認識させてくれます。

"雨季の終わりの
蛍みたいに
灯りが落ちる頃には
涙は乾いている

そして君は雨の中を飛び出していく
思ったより強くなった雨の中
だけど晴れの日はすぐ雲の向こうで待ってることを
君は知っている"

(「Firefly/Life in Technicolor」訳詞)

これは歌詞読んでるだけで泣くやろ…。

唾棄すべき感性を披歴して、「お前がひこうき雲になればよかったんちゃうん?」と思わせてくれる大御所もいる中、僕たちには細美武士がいてよかったと心から思うものです。

Our Secret Spot

Our Secret Spot

  • アーティスト:the HIATUS
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: CD