ART-SCHOOL 『14 SOULS』

5th。
アートを聴くのは『Flora』以来で、以降二枚のミニアルバムを聴いていなかったのです。その間、サウンド面でのかなりの変化があったことは聞いていたので(ドラマー代わってるし)、結構楽しみにしていた久々のオリジナル・アルバムでしたが。

百合のように 青く澄んだ 君を観ていた
夢のように 甘美だった 舌で溶かして
黒い灰の中にあった 赤い錠剤
ソーダ水で流し込んで君は笑った
Please rescue me
君が言ったんだ
「逃げ出そうよ 行くとこなんて何処でもいいの」
(「ローラーコースター」)

なんて詞を見てると、思春期におけるある種の「病」がぶり返しているようで、「相変わらずだなあ」と微苦笑でしたが。つか詞の面では『Flora』以前に後退している気がする。
でも確かにサウンドは多彩で、エレクトロニカやダンスビートに接近したりもしつつ、ホーンセクションなんかも入れたりしつつ、アート特有の疾走感や繊細さ、ギターの美しい歪みも感じ取れる、豊かなロック・アルバムになっていると思います。木下の声も最初ぶっちゃけちょっと気持ち悪いぐらいに、丁寧に歌を伝えている。これは前作から引き続いた流れですね。詞の志向はそのサウンドプロダクションに対するバランス感覚の顕れなのでしょうか。
「ローラーコースター」とか、疾走感が気持ちいい曲も好きなのだけど、僕はこのバンドの、リズムで聞かせる曲を偏愛しているのです。かつて「クロエ」って曲があって個人的にそれがアートのベスト・ソングなのだけど、このアルバムで言えば「wish you were here」と「KILLING ME SOFTLY」。特に後者は、詞の完成度も含めてこのアルバムのベスト・ソングであることは間違いないでしょう。転調も鮮やかなればギターもカッコよすぎる。「クロエ」と張るな。

you make bring me down
いつかこんな声が こんな声が君に届いたら
体だけが疼いて 震えてるんだ 嘘になりそうで
それでも 歩けなくて 凍えそうな そんな時には
迷わず捨てればいいさ この愛を そして手を繋ごう
(「KILLING ME SOFTLY」)

14SOULS

14SOULS