H.ヘッセ/高橋健二(訳)『車輪の下』新潮文庫

ネタバレ一応注意。
古典的名作の二連打。ああ未読だよ。
こちらは『老人と海』よりははるかに面白かったです。ナイーブな「優等生」の挫折と失墜というテーマは確かに普遍的だと思うし、その意味で読み継がれているのも分かります。ただ俺は、こういう作品に共感やナルシシズムを喚起されるには、些か育ちすぎたな、と思った次第。
そうした小説の「主題」ではなく、ドイツの田舎町の風景・風土描写や、神学校での生活の様子(なんだか『トーマの心臓』みたいだ)、むしろそうしたこまやかに美しい筆の運びに感興が大きかったです。
俺にはそういう小説でした。
評価はB。

車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)