ACIDMAN 『A beautiful greed』

7th。
エスニックなジャケット・デザインがまずツボでしたが、そんなんは置いといて。
冒頭の表題曲(インスト)、いきなりピアノとチェロからで、チェロって俺個人的にツボだからまあ「いいなあ」と思って聴いてたんだけど、もはやスリーピース・ロックバンドである意味ないじゃんとの思いもあり。
だけど続く「±0」、「CARVE WITH THE SENSE」と、衝動と疾走感で煽りたてるハード・エッジな楽曲にアゲられ、さらには続く「Who are you?」「Under the rain」はアンセム系楽曲の抑制と解放の両端を一手に担うような絶妙の流れでした。

君の名を呼んだ時に 世界は始まった気がした
瞬いて 瞬いて 永遠に続く
(中略)
君の事を教えてほしい
世界はもうすぐ終わってしまうから
君の事を教えてほしい
真実はどこにもないから
(「Who are you?」訳詞)

そこから「ファンタジア」「星のひとひら」「HUM」へと至る、煌びやかさから荘厳さへ、だけど根底に優しさが満ちている、という流れは、前作『LIFE』の序盤、ひときわ印象的だったブライトネスの進化系のようで堪能しましたし、ラスト「I stand free」「OVER」というミディアム・ロックバラードの流れも、見事に作品のスケールを拡大してアルバムを閉じています。
前作、特に序盤の衝撃的なインパクトこそないけど、統一的な世界観の下でのソングライティングの豊饒と、その提示の完璧な自然さは、ロック・アルバムとしてのひとつのイデアを感じさせます。こいつらはもう、完全にロックをモノにしてる、そんな風に。
詞はやっぱりたまに相容れないセンスを感じるけど、だいぶこなれてきたし、キャラだと思うようにしました。
…どうもやっぱり、ACIDMANは素直に褒めたくないらしい。

A beautiful greed

A beautiful greed