中島岳志『保守のヒント』中公文庫

ネタバレ特になし。

様々な媒体での「保守」論のコレクション。

長編評論ではないが、問題意識には一貫性があり、明晰で平易で理解しやすい。大川周明三木清橋川文三といった名前から、窪塚洋介堂本剛まで。書名の通り、現代日本の「保守」を考えるヒントが満載された一冊。読む者がそこから何を拾い上げるか。

個人的には、既得権益の破壊者として現れたポピュリズムが、竹中平蔵という新自由主義のモンスターと新たな権力・権益構造を生み出してしまったという小泉政治の問い直しと、橋川文三の《普遍的人間としての問題が、なぜナショナリズムの問題へと回収されてしまうのか?》(227p)という命題が刺さった。

記録のみ。

保守のヒント (中公文庫)

保守のヒント (中公文庫)