中島岳志『アジア主義 西郷隆盛から石原莞爾へ』潮文庫

ネタバレ特になし。
明治維新から戦後にかけての「アジア主義」の歴史と変遷を振り返り、現代におけるヴィジョンを提示する本。
平易な文章で、ものすごく分かり易く、論旨がストンと入ってきます。西郷に始まり、頭山満孫文宮崎滔天南方熊楠岡倉天心大川周明*1に石原、三木清西田幾多郎鈴木大拙…あらゆる時代、ジャンル、立場で紡がれた思想がダイナミックに連環していく様は、歴史を学ぶ愉しみを教えてくれるし、それに連なる著者の「アジア主義」の思想、歴史に対して貫く立場には全面的なシンパシィをおぼえます。
福沢諭吉「脱亜論」の歴史的文脈を今さらながらに理解して、これをてめーらのレイシズム排他主義牽強付会してるネトウヨ連中の無知と厚顔は見下げ果てて果てがねーなと思いました。現代日本に蔓延る似非保守の連中はさ、戦前戦後の右翼、(超)国家主義者の気骨と美徳、そして陥った陥穽を少しは顧みろよ。
…以上特に言及する価値もないと思いつつ、自らの不勉強への戒めとして。
評価はB+。

*1:石原莞爾にしろ、意外と山形、傑物多くないすか。