初野晴『退出ゲーム』角川文庫

ネタバレ注意。
清水南高校吹奏楽部に所属する幼馴染のハルタとチカが、学内外に起きる事件と謎…文化祭準備期間の「結晶」盗難、六面が真っ白なルービックキューブ、誰も見たことのない「色」etc.…に挑む学園ミステリ連作。
想像よりアッパーなテンションのラノベライクな佇まいで、もっとノーブルな作風期待してた…と思わないではなかったけど、各編多彩なネタが凝らされていて、プロットもまとまりよく、青春ミステリとしての余韻と、ジャンプマンガ的な「仲間集め」連作の妙味もあって、さすがの人気シリーズと思いました。
特に挙げるなら「エレファンツ・ブレス」、珍妙な発明品「オマイデマクラ」というギミックも効かせて、ただでさえ面白い謎の設定がされているのに、さらに予想もしなかったクリティカルな一撃があって、感動が深かった。
あと、表題作の作中劇中のあるトリックについても、昔「一人称と見せかけてボクシッチって名前のクロアチア人」てトリック温めてたなあと懐か恥ずかしい気分に。アレは国籍こそ違え作例を見つけて諦めてたけど、使うんならこれぐらいコミカルな雰囲気の中で使うべきだったんだな、と正解を教えられた思いがいたしました。
…どうでもいいですね。
評価はB−。

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)