小林哲夫『高校紛争 1969-1970』中公新書

ネタバレ一応注意。
全共闘時代、大学ではなく高校でどのような闘争が行われていたかを概観する本。
思い入れと客観性のバランスが取られ、いろいろと目配りも効いたいい仕事だと思います。読んでるこっちとしても、高校生活動家のピュアネスに惹かれながら、でも心情的には教師陣の苦悩・苦闘に思い入れてしまう部分もあって…いい加減三十も半ばですし…、なかなか新鮮ではありました。
個人的にもいろいろ思うところがあって、仙台一高すげーわ二高に抜かれたって認識しかなくてゴメンと東北の名門への認識を新たにしたりとか、旭丘すげーわ十五年名古屋に住んでてようやく名門のなんたるかを認識したわとかいろいろあったけど、一番はなんといっても某学習参考書出版社の社長さんのお話。
山形全然話に出てこなくてクソだな、と思ってたら突然出てきた母校の名前…それを活動によって放逐された先輩が、自分の仕事で直接的に関わりのある会社の社長として立身されたという事実。教科書シーズンに何度電話したか分かりませんし、それ以上に、俺は先輩を放逐した学舎で、先輩の作られたベストセラー参考書使って勉強させていただきましたよ。それをどのように捉えられているのかは分かりませんが、それはやはりある種の革命の風景だったと思うのですが。
Forest改めEvergreen、いい本でした。
評価はB。

高校紛争 1969-1970 - 「闘争」の歴史と証言 (中公新書)

高校紛争 1969-1970 - 「闘争」の歴史と証言 (中公新書)