ネタバレ特になし。
戦争賛美詩なんかは論外として、「道程」なんかに見られるマッチョイズムも好みではなくて、やはりこの人は智恵子を歌ってナンボだと思います。
いやなんです
あなたのいつてしまふのが―
(「人に」)
智恵子よ、
石炭は焚かうね。
(「金」)
―わたしもうぢき駄目になる
(「山麓の二人」)
私はあなたの愛に値しないと思ふけれど
あなたの愛は一切を無視して私をつつむ
(「亡き人に」)
狂気の彼岸に去ってしまった妻への哀惜と愛慕がせつなく侵食してくる。
そして「あどけない話」は、そのエッセンスだけを抽出して結晶化したような名詩。この一編だけで歴史に名を刻んだに等しいと思う。
評価はB−。
- 作者: 高村光太郎
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2004/01/01
- メディア: 文庫
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