ネタバレ注意。
瀬戸内の群島を舞台に、過去の誘拐・殺人事件の謎を探索するスリーピング・マーダー長編。
プロットも練られているし、舞台立ての風物にも感興はある。真相が明かされることによって、特に主人公の家族周りで見えていた風景の意味が反転するあたりにも、巧緻な手腕が発揮されていると思う。
…しかしあまり印象がよくないのは、誘拐事件の被害者という過去の影を背負った、若い女性教師である主人公と、そのロマンスの相手役であるチャラめの青年医師・里見という二人が、共に物語の中核を担うに足る造形に至っていないからだと思う。それぞれの過去を小出しにしながら描写しなければならず難しいバランスだと思うけど、この人たちの薄っぺらいロマンスにひとつも感情移入できなかった。ロマンス全面に立ててコレはかなりツラい。
アオカンの描写とか、勘弁してほしかったわw
評価はC。
- 作者: 多島斗志之
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/05/27
- メディア: 文庫
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