ネタバレ注意。
薔薇の咲き誇る館に嫁いだ主人公の周囲に起こる、異変と死。
「定石通り」という側面も強いとはいえ、ゴシック・ロマンス的な雰囲気はよく出せていて、リーダビリティは高い。最終的な構図の落ち着きどころもなかなか綺麗でいいとは思うが、そこに至るまでの心理描写は唐突と飛躍の否めないもので、それゆえクライマックスになるべきところで一番テンションが落ちてしまったのは残念だった。
ゴシック・ロマンスの定石を踏んでる間は安定していた筆の運びが、物語がオリジナルな動きを見せるのと同時に落ち着きを失くしてしまったような印象。ラストのどんでん返しも、この程度であれば蛇足に感じる。
評価はC+。
- 作者: 今邑彩
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/11
- メディア: 文庫
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