山田正紀『蜃気楼・13の殺人』光文社文庫

ネタバレ一応注意。
過疎の山村を舞台に、村興しマラソン大会での人間消失に端を発して起こる連続殺人。脱サラして移住してきた男が、村に馴染むためにその謎に挑むw!
山田正紀らしい、仄かに物悲しい世界観の中に、特大物理トリックとか、偽郷土史とか、社会派パロディとか、いろいろと野心的にブチ込んである。いい意味でゴッタ煮の風情は、文庫化に際して後付で出されたらしい名探偵・風水林太郎の取って付けた感によって助長されている部分でもあり。なんだかこういうのが似合う名探偵でもあるな。
完成度が高いとはお世辞にも言えないけど、本格ミステリに野心を持ち始めた作家らしいエネルギィが充満していて、読んでて愉しかったです。
評価はC+。

蜃気楼・13の殺人 (光文社文庫)

蜃気楼・13の殺人 (光文社文庫)