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実在の連続殺人鬼の半生と逃亡劇を実録的に描いたクライム・サスペンス。タイトルからしてピカレスク・ロマン的な復讐劇かと思ってたけど、単なるサイコパスだったw 復讐ってのはなに、運命とか神*1とかそういうことか?
しかしさすがの今村昌平、140分の長編をまったくダレることなく、様々な愛憎と宿業を絡ませて、緊迫して濃厚な人間ドラマを織り上げています。榎津(のモデルになった人物)の狂気に対する、シンパシィと表現しても間違いではなさそうな執心*2が感じられる、気合の乗った仕事。あてられてちょっと気持ち悪くなるぐらいだった。
緒方拳も三國連太郎も、それぞれ素晴らしい力演だと思うけど、個人的にこの映画はやはり女優だなあと思う。小川真由美のハルの哀しい生き様はこの作品のもう一方の主題として成立しているし、倍賞美津子の凄絶と形容し得る美しさは日本映画史に特筆されるべきもの。露天風呂のシーンはなかなかに凄まじかった。ハルの母親を殺すシーンで、榎津が二階に上がった後、カットがシンクロして暗闇の中から現れるミヤコ蝶々も異様に恐ろしくて心臓止まるかと思ったw
緒方拳にちょっとノリきれなかったのは、また別の犯罪実録の主人公にそっくりだと思ってしまったってのもあったね…やっぱ名作って、どっかで現実を射抜いてしまう*3んだな。
- 出版社/メーカー: SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
- 発売日: 2012/02/22
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