ネタバレ一応注意。
リア充の青年歌人と、短歌の世界に引き込まれていく童貞大学生の二人の視点から描く、短歌×青春小説。
かなーりキッチュな風合いの「小説」より、要所に挿入される「短歌」の方が、よっぽど何かを伝えられているように思うけれど、それもまた一つの狙いの達成ではあるのかも。個人的には「セデス百錠」のとこにあった短歌論議みたいのをもっと読みたかった。俺は固有名詞ない方が好きよ。
吉祥寺近辺の実在のカフェ/レストランが頻出するというディテールのセンスとか、正直気に入らない部分も多かったけど、さすが言葉に自覚的にならざるを得ない作品であるがため、なんとなく響いてくるセンテンスもあった。
本好きを自慢する心は、さもしい。人はただ、「必要」だから読んでしまうのではないか。威張るようなことではない。単に臆病で、それなしではいられなかったから、多くの本を読んでしまっただけだ。少なくとも、俺の場合は、そうだった。
(110p)
評価はC+。
- 作者: 枡野浩一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11/17
- メディア: 文庫
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