多島斗志之『マールスドルフ城1945』中公文庫

ネタバレ一応注意。
第三帝国崩壊に瀕したドイツを舞台に、在独日本人の少年と、ヒトラーの密命を受けたSS大尉の運命の交錯を描く歴史サスペンス。
リーダビリティは認められるし、大戦末期ドイツという舞台立てへの興味もあってすいすい読んでいけたけど、肝心のお話、長編小説としての結構はまあ、メリハリに乏しいと言うか…。
こういう構成であれば、もっと史実と架空とをダイナミックに絡ませてほしかったように思った。ちょっとおとなしくて物足りない感じ。
評価はC。