J.M.クッツェー/鴻巣友季子(訳)『恥辱』ハヤカワepi文庫

ネタバレ特になし。
家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第19回課題本。
初出1999年の作品ですが、ノーベル文学賞獲ってるぐらいの作家だし、別にいいよね。
しかしまあ、どうにものめり込めない小説だった。ポストアパルトヘイト南アフリカという(作中それほどあからさまではないけど)特殊な状況下における、様々な価値観の相克と変容が描かれているけれど、一番相克を感じたのは読者である俺自身と作家のリアリティの間でのそれだった。「なぜそうなる!?」「どうしてそういう思考に至る!?」という違和感につきまとわれながらの読書だった。
奥泉光クワコーシリーズとか倉阪の事件シリーズみたいな、堕落したインテリゲンツィアのルサンチマンみたいなネタは大好物なので、題材としては好適だったハズなのだけど。ブラック・ユーモアというよりはやはり、どうしてもブンガクしてしまっているからね。
評価はC。

恥辱 (ハヤカワepi文庫)

恥辱 (ハヤカワepi文庫)