岩井志麻子『瞽女の啼く家』集英社文庫

ネタバレ注意。
明治の岡山、瞽女屋敷に住まう女たちを襲う恐怖を描いた土俗ホラー。
坂東眞砂子作品でも印象の深かった「瞽女」というモチーフ、やはり女の情念、そこから生起する恐怖というものを描くには、とても好適の素材と見えます。
ただこの作品、特に終盤に関しては、ちょっと力技過ぎて、精緻を欠く印象がありました。テーマ設定と語り口の巧さはさすがの岩井ホラーだけど、それだけで押し切られてしまったようで。
鳥肌が立つというよりは、ちょっと滑稽味がかってしまっているのは、それが狙いなのかもしれませんが。
評価はC+。

瞽女の啼く家 (集英社文庫)

瞽女の啼く家 (集英社文庫)