岡嶋二人『解決まではあと6人 5W1H殺人事件』講談社文庫

ネタバレ注意。
俺もいい加減ミステリ読んできたつもりでいたけど、これはちょっと見たことのない情報処理がされた、野心的なミステリです。
ある一人の女性が、それぞれ異なる六人の探偵に依頼を持ちこみ、順を追って語られるそれぞれの調査によって、ある事件の「5W1H」が浮き彫りにされる、というもので、このアイデアがまず卓抜ですね。容易に全体像を掴ませない事件、その「謎」の吸引力にぐいぐい引き込まれます。
魅力的な「謎」の常として、解かれてしまえば…という部分が否めないのも事実*1だけど、この情報処理*2の巧みさ、構成の斬新さにおいて記憶され、読み継がれるべき作品だと思います。
評価はB+。

解決まではあと6人 (講談社文庫)

解決まではあと6人 (講談社文庫)

*1:ほぼ自供による解決はあまりにも性急だし。

*2:作中の情報セキュリティの感覚…つーかザルぶりはさすがに古びているが。