江戸川乱歩『江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚』光文社文庫

ネタバレ特になし。
中長編主体の第二巻。
再読でしたが、やはり「パノラマ島」は面白いです。奇想のスケール感、夢幻的で淫靡な浪漫性、これぞ乱歩、という感じがします。
出来に絶望して流浪の旅(笑)に出たらしい「一寸法師」も、そう悪いもんでもないと思う。確かに終盤のバタバタは見苦しくて、苦心の跡が窺えるけれど。
それより最も本格に寄った「湖畔亭事件」が、本格の形式に忠実なだけ粗が目立ったなあ、と思う。

 私には時々『何でもいいから引き受けちまえ』というやけくそな気持ちがやって来る。
(「湖畔亭事件」自作解説、307p)

まあ、自虐芸がかわいらしいので許すけど。
評価はB。

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)