馳星周『生誕祭』文春文庫

ネタバレ一応注意。
バブル期の不動産業界、そこに蠢く魑魅魍魎を描いた小説。
シンプルなキャラクタとストーリィ、捨象されたディテイル。この前に読んだ小説とは真逆の志向。馳ノワールには最近テンション落ちてたけど、対照効果もあって、エンタテインメントとして潔い筆の走りに好感を抱きつつ読んだ。上下巻、倍ぐらいのヴォリュームを、体感的には半分ぐらいの時間で。
まあ、ぶっちゃけて言えば興味の持てない連中がうだうだやってるだけの話だし、ラスト近くで主人公たちの立身の夢が瓦解していくプロットは精緻さにもサプライズにも欠け、流れに任せてグダグダなんだけど。でもここまで読んできて大体分かったけど、馳ノワールのキモはビッチ役がどれだけ存在感を示せるかにかかっていて、この小説の麻美ちゃんはかなり頑張っていた。
紛う方なき人間の屑だけどなw
評価はB。

生誕祭〈上〉 (文春文庫)

生誕祭〈上〉 (文春文庫)

生誕祭〈下〉 (文春文庫)

生誕祭〈下〉 (文春文庫)