ネタバレ特になし。
前読んだのがつまらなかったので期待してなかったんだけど、この小説はなかなか面白かったです。
いかにも絵空事のキャラクタばっかり出てくるんだけど、そいつらが皆立ってて面白い。オカマもチンピラも博徒もドヤ街の住人たちも、皆いきいきとそれぞれの物語を生きている。「消し屋」の主人公・幸三の造形も、そうした様々な物語を貫いて、存在感と魅力を発揮している。
プロ野球があまり好きじゃない僕としてはメイン・ストーリィがどうでもよかったのですが、「人」を読むということに関してエンタテインメント性の高い作品。セリフも粋でイキがいいです。
「前の学校の先生と親はどんな町だとか、どんなことに気をつけろとか言わなかったのか?」
「うん、博多は魚がおいしい町だって……」
「それは随分と人間を舐めてるか、ただの阿呆のセンコーと親だな。おまえだって嫌だと思うぜ。知らねえ奴がいきなり自分の家に、『魚うまいんだってね』なんて能天気なこと言いながら入ってきたら」
(52p)
評価はB。
- 作者: ヒキタクニオ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/03/10
- メディア: 文庫
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