BUMP OF CHICKEN 『COSMONAUT』

6th。
いや、これは名盤でしょう。「HAPPY」聴いてにわかに盛り上がった期待感が、それを上回って満たされました。
なにより感じられるのは、藤原のソングライティングの充実です。詩作、楽曲共に、これまでの作品から一段段階が上がっているように思います。シングル「R.I.P.」が一番レベルが低くて、コミカル・アナロジィ担当「分別奮闘記」をのぞいては、皆シングルできれるような粒揃い。楽曲の充実度では『ユグドラシル』と張るでしょう。
後は好みの問題です。自省を突き詰めた結果発生していた、炊き煽るような青いエネルギー、寓話的に完結された美しさは感じられませんが、その分世界観はより他者との関係に、さらにはそこにある時間の流れに拡大されています。その意味で最も象徴的で、ベストの楽曲は「宇宙飛行士への手紙」、スペーシィなサウンドスケープの広がる、スケールの大きな名曲です。
マイナス面も書けば、バンド・サウンドに刺激が足りないのは相変わらずの部分ではあります。「分別奮闘記」のアイリッシュ・アレンジは「やどかり」とモロにカブってて、「案の定かよ!」と思ったけど、バンド全体の創造性が追い付けば、まだまだどんな曲出てくるかわからんなあ、とのびしろを感じる部分でもあります。
しかし「宇宙飛行士への手紙」はある意味バンプ王道の宇宙ネタで王道の達成だし、「三ツ星カルテット」の変拍子&変則チューニングによる見事にシンプルなスタートダッシュ、さらにはラスト「beautiful glider」でも癖のあるアルペジオが楽曲を彩っています。特に気に入った曲は面白いギターが鳴っていて、こうした面にはこれからも期待できるなあと思いました。
次はどれだけかかるか分かりませんが、まだまだ俺はバンプを聴けるなあと思う次第です。

COSMONAUT

COSMONAUT