J.コクトー/東郷青児(訳)『怖るべき子供たち』角川文庫

ネタバレ特になし。
家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第三回課題本。
これ、後輩の推薦もあって採り上げたのだけど、僕はダメでした。主人公の姉弟を中心に、四人の孤児の共同生活と感情のやり取り(つーか九割が諍い)、その発展と破綻を描いた悲喜劇(多分ね)。
狂気、などと形容するには出鱈目、野放図な奴ばっかりで、まったく感情移入できない、愉しめない。「何も感じなかった」というのが正直なところ。
あと、何冊か訳違いで出ているのだけど、この角川版、東郷青児訳は地雷だったかもしれません。非常に詩的な小説だろうしそうして嗜むべきだと思うのです、本来は。仏語堪能か知らんけどプロパーではなく、しかもぶっちゃけ半分イラストレータみたいな画家*1の、生硬でリズムの悪い訳が、この小説本来のポエトリィを表現できているかは甚だ疑問ですね。…まあでも、違う訳で読み直したいかと言われれば、そうでもないのですけど。
萩尾望都のコミカライズは結構愉しく読んだ記憶があるので、その意味で萩尾は東郷青児より優れた芸術家であると言えるかもしれませんね。つか、多分そう。
評価はC。

怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1))

怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1))

↑買ったのはこの松山ケンイチ版の表紙ではありませんでした。つかコレだったら他の版買ってたわ。一応名誉のために書いておきます。しかし志の低い商売だな。

*1:嫌いな画風なのです。